大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和25(れ)1608 判決

主 文

原判決中有罪の部分を破棄し、事件を福岡高等裁判所に差戻す。

理 由

弁護人重富義男の上告趣意第一点及び第五点について。

原判決は賍物収受の事実摘示中いわゆる知情の点について「被告人は……もと海

軍大尉砲術長A並びにもと海軍将兵数名の者から同人らが終戦物資につき処分の権

限なくして勝手に領得する賍物であることの情を察知しながら」と判示している。

しかし、原判決の挙示する証拠を見ると、被告人が犯行当時その賍物たるの情を知

つていた点については、これを認むべき証拠の存しないこと所論指摘のとおりであ

る。もつとも、原審公廷における被告人の、終戦当時のどさくさでもらつたのであ

るが、今から考えれば部隊の主計長といえども多量の品物を勝手に民間に払下げる

ことはできなかつたと思われる旨の供述や第一審第三回公判調書中被告人の供述と

して、私が判示物品をもらい受けた当時は終戦直後で混乱していたので深い考もな

かつたのであるが、今考えると、A等は勝手に軍の物資を被告人にやつたわけであ

る旨の記載が証拠として挙示されているが、このような証拠だけでは犯行当時にお

ける賍物知情の点を認定し得ないこと勿論である。されば原判決には所論のような

違法があるものといわなければならないから、この点において原判決中有罪の部分

は破棄を免れ得ない。

論旨は理由がある。

よつて爾余の上告趣意に対する説明を省略し、旧刑訴四四七条、四四八条の二、

一項に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

検察官 松本武裕関与

昭和二六年四月一三日

最高裁判所第二小法廷

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裁判長裁判官 霜 山 精 一

裁判官 栗 山 茂

裁判官 小 谷 勝 重

裁判官 藤 田 八 郎

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